福岡大学医学部精神医学教室 医学部 精神医学教室
福岡大学医学部精神医学教室の研究室紹介

研究室紹介

臨床に身近なテーマから、生物学的分野まで幅広く研究を行っています。

精神療法を重視した高い臨床力の修得に加え、研究・教育に積極的に携わることにも力を入れています。当教室は、研究室単位で組織されておらず、様々なテーマのもとに、有機的なグループ単位で活動しており、臨床的なテーマから生物学的な研究テーマまで幅広く、種々の精神医学の領域をカバーしています。

以下のグループ以外にもリエゾン・コンサルテーション、緩和ケア、小児・児童・思春期・青年期、多文化間精神医学、司法精神医学などについても取り組んでいます。

  • 自殺予防研究グループ

    平成10年に自殺者が急増し、自殺の問題は社会全体で取り組むべき課題となりました。精神科医療の果たす役割は大きく、平成18年から救命救急センターに搬送された自殺企図者の調査と再発防止のための介入を中心に活動を始めました。その後、様々な関連領域の専門家とともに地域に根ざした自殺予防を続けています。今後、当院も参加した厚労省自殺対策のための戦略研究(ACTION-J)の結果をふまえ、より焦点化された自殺予防の取り組みを発展させていきます。

  • 気分障害グループ

    躁うつ病(双極性障害)、うつ病、気分変調症などの気分障害を中心的に診療します。通常診療以外に、難治例、セカンドオピニオン、治験、臨床研究などを行っていきたいと考えています。また、周産期の抑うつなども対象とします。抗うつ剤、気分安定剤、第2世代抗精神病薬、mECTによる治療を積極的に行い、臨床研究にも結びつけていきたいと考えています。

  • 精神療法グループ

    当教室は、伝統的に精神分析的な理解や力動精神医学に根ざした臨床実践を続けており、多くの精神分析家を輩出してきました。現在も精神分析的精神療法に関する教室内での症例検討会、定期的な勉強会を行っています。メンバーは、精神療法の基礎から学び、その後各学会の認定医や精神分析家になるためのトレーニングを積んでいます。希望に応じて精神分析的精神療法のスーパービジョンや、その他の精神療法(認知行動療法、森田療法など)を学べる体制を整えています。

  • 老年精神医学グループ

    福岡市の認知症疾患医療センターの指定を受け、「もの忘れ外来専門センター」を神経内科と合同で運営しています。医師・看護師・臨床心理士・精神保健福祉士との症例検討会と、放射線科・神経内科との合同画像カンファレンス(MRI、SPECTなど)を週に1回ずつ行っています。認知症かうつ病などの機能性疾患かの鑑別や、認知症の鑑別診断や経過観察に関して、画像統計解析手法も用いて評価しています。日本老年精神医学会、日本認知症学会の専門医を取得する環境も整っています。

  • 性同一性障害(GID)グループ

    当院外来では、2004年よりジェンダークリニックを設立し、産婦人科・泌尿器科・形成外科と共に性同一性障害(GID)の治療を専門的に行っています。治療を求めて当院を受診する患者数は年々増加傾向にあります。また、DSM-5では性同一性障害から性別違和という新たな概念が示されており、今後も注目される分野です。当教室では平成21年度より、科研費の助成を受けており、さらに積極的な研究を行っています。性科学についての勉強も行っています。

  • スポーツ精神医学グループ

    スポーツ精神医学グループは、横山浩之、永井宏、田中謙太郎、畑中聡仁を中心に活動しています。2014年からは福岡スポーツ精神医学研究会を年二回開催し、福岡におけるスポーツ精神医学をリードしています。今後のグループの取り組みは、アスリート(摂食障害、神経症など)のメンタルヘルス、精神障がい者フットサル大会の全国への普及のサポート、うつ病の運動療法の多施設研究などです。スポーツが好きな方には必ず興味を持ってもらえると思いますので、我々と一緒に活動しましょう!!

  • デイケア・集団精神療法グループ

    当院のデイケアは1974年に大学病院として全国で初めて発足して以降、先駆的な役割を果たしてきました。スポーツや農作業などの集団治療プログラムを軸として、集団の中で生じる人間関係に着目した研究・臨床・教育を行っています。また病棟では、集団精神療法(コミュニティ・ミーティング)を長年にわたり行っています。近年では日本デイケア学会を主催したほか、集団精神療法を実践する他施設と交流し、ますますの発展を目指しております。

  • 精神薬理グループ

    福岡大学薬学部臨床疾患薬理学教室との共同研究を大学院生が中心となって行っています。大麻成分THCを使用した研究、marble-burying行動を用いた強迫性障害の研究、強制水泳モデルを用いたうつ病の研究、アルツハイマー病モデルラットを使用した抑肝散の研究、ストレス性の不眠モデルマウスを使用した酸棗仁湯の研究など、行動薬理学を基盤とした研究が中心です。共同研究のメリットを生かし、臨床と基礎をつなぐ研究も行っています。

  • 遺伝子・神経科学研究グループ

    基礎研究から、臨床研究まで、主として、遺伝学、分子遺伝学、分子生物学、神経精神薬理学を主体とした生物学的研究を行うグループです。日本人類遺伝学会の遺伝専門医、マウスを主とした動物行動学、またそれらの脳内微小透析法による解析、認知症、双極性障害、うつ病を主とした遺伝解析、ヒトをサンプルとしたバイオマーカー解析などを行っていきたいと考えています。

    臨床研究に関する情報公開について